2009年10月7日水曜日

CM撮影用の家具づくり 2

何事もなく台風一過となれば何よりですが・・。本日の午後3時が長椅子の作り替え分の納品リミットでしたので、その顛末を。
前回完成した長椅子は綺麗に作りすぎというクライアントの反応でしたので、ご希望のイメージに添う様な材料を大分県の日田まで探しに行ってまいりました。

椅子のイメージは茶店の長椅子で、長い間を屋外で使用されて風化したような木部の雰囲気を出す事です。ですからハナから風化したような外見の木材を調達しました。この状態から、普通は削って材料の曲がりやザラザラをとって、まっすぐでツルツルな材料に成型して加工に入るのですが、今回は表面の質感を生かすため、材料は曲がったままでなんとか形にしていきます。

木材が紫外線や風雨にさらされると、銀鱗の様な色艶が木材の表面に表れます。これが今回めざしている表面の仕上がり感です。

ただ組み上げた状態では、部材同士が統一感のない、ちぐはぐな印象になりますが、これを全体的に違和感のないように仕上げます。

トーチで焼いたりしてますが、今まで古色仕上げや、ビンテージ仕上げなどの経験がほとんどないので、やみくもに閃きとカン頼りで、それっぽ~く仕上げてみてます。

叩いてみたり、ブラッシングしてみたり、塗ったり、磨いたり、削ったり、噛んだり、うまくいかずにトイレに逃げ込んだり・・・・。四苦八苦しながらもだんだんと要領を得てくるもので、リミット1時間前に漸く納得いく仕上がり感になりました(汗)


完成姿です。写真で見ると光の加減で実物と見え方が違いますが、実物は枯れた雰囲気がもっといい具合に出ています。現状の畳は綺麗すぎるので、もっと日に焼けた仕様感のあるものに変更します。

こちらは初めに製作した長椅子です。まるで雰囲気が違いますが、撮影の時に作り替え分と一緒に現場に持ち込みますから、今のとこ可能性は低いですがひょっとすると、こちらを使用するかもしれません。

それと、先方のご厚意でなんとCMの撮影当日に立ち会うことができそうです。現場でどんな風にCMが作られていくのか見られるので、とても楽しみです!!

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2009年10月2日金曜日

CM撮影用の家具づくり

秋がしとしとやってきたような。ひっそりと、しかし着実に秋が深まりつつあるなと感じる、今日この頃ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか?

ここのところオーダーの注文をこなしておりませんでしたが、あるメーカーさんからのご依頼をいただきまして、コマーシャル撮影に使用するための「畳座の長椅子」を制作させていただいております。何のCMかは、CMがTVで流れ始めてからのお楽しみです。
品物はすでに完成に至っているのですが、ある事情がございまして、まだ現在進行形のお仕事になってしまっています。いろいろあるんです。

懇意にさせていただいております高田製材所様からのご厚意で、特別に屋久杉を仕入れさせていただきました。計画的に植林されたものだと思います。木目がとにかく詰まっていて、とても美しいです。納得の超一級の杉材です。

ほぞ組で組み上げます。ひととおり加工を終えたら、部材の表面を“うづくり”といって、木目を強調して見せるためにブラッシングをします。写真を見ますと、木目の白い部分と赤い部分が年輪として見えているのがお分かりだと思いますが、白い部分が夏場に育った部分で、赤く見えているのが冬場に育った部分になり、成長速度の差が見た目と、硬さの違いになっています。杉材は特に顕著に表れますから、これにうづくり加工を施すと、柔らかい部分は削り取られて凹み、硬い部分が凸になりますので、表面の仕上げは手触りのいい、通好みの味のあるものになります。

クランプでテンションをかけて接着し組み上げていきます。

うづくり加工を施していますので、写真では分かりにくいでしょうか・・・、白木の美しさが際立っております。今回はクライアントのご希望でダークな色調での納品となっています。この状態でも綺麗なので、もったいない気もしますが、この後に着色処理をします。

今回は染料を使って色をのせました。着色後のコーティングは亜麻仁油をボイルしたものを塗っています。市販の普及しているオイルと違い、乾燥に時間がかかるのですが、仕上がりはしっとりとした質感で、吸い込みのムラもなく、当初のプラン通りの仕上がりになりました。
貞刈産業様から琉球畳の畳表を使用したものを納品いただき、寸法通りに枠内にびったり収まりました。サダカリさん有難うございました。
が、完成してみると、クライアントの描いているイメージとは違ったようなんです。急きょ追加で仕様違いを作ることになりまして・・・おぉっ。
急ぎ明日から、イメージに添う様な材料調達に奔走し、すぐそこに迫っている撮影日に間に合うように超スピードで製作することになっています。果たして間に合うのかドキドキもんですが、でも、それもまたよろし、ってことで。

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